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date2015年7月31日

「矛盾を受け入れることから始まる」 お坊さん×就活アウトロー ワークショップレポート

住職と経営コンサルタントという“矛盾”を両立する、 川島俊之さんと語る仕事、そして人生の意味。


プロフィール

川島俊之さん

名古屋商科大学大学院客員教授/元公認会計士/高野山真言宗高福院副住職。1990年慶應義塾大学経済学部卒業。2009年高野山大学大学院文学研究科修士課程密教学専攻修了。1989年に公認会計士第2次試験に合格。監査法人トーマツにて会計監査・上場支援を経験した後、株式会社三和総合研究所のコンサルティング部門で経営戦略の立案・実行支援に従事。さらに、独立系ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレイン株式会社において主にITベンチャー企業への投資を行う。徹底的なハンズオンでの経営支援や上場支援に取り組み、数社の上場に関わる。この間、東京工業大学及び大学院(経営工学)で非常勤講師をつとめる。_現在は、イノベーションについて、経営・哲学(現象学)の両面から研究。

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住職でもラーメンや肉はよく食べる

——会場に登場した川島さんは、ヘアスタイルは住職らしいスキンヘッドながら、服装は白いプリントTシャツにジーンズと、住職というイメージとは遠いカジュアルな姿。それを見たアウトロー達は先入観とのギャップもあって、川島さんがどのような人物なのかを見定めるかのように緊張感が漂う中、スタートしました。

まずは川島さんの自己紹介。学生時代は公務員が向いていると思っていたものの、実際は監査法人に就職。その後ベンチャーキャピタルで働く中で、公務員とは対極の、ビジネスの世界が向いているとことがわかったと言います。その後ビジネスの世界で昼夜問わず働くも、「40歳までは好きにして良い」という父親の言葉に従う形で、40歳にして実家の住職を継ぐことを決意し、現在に至ったそうです。

そのめくるめく半生に、これからの人生を模索中の参加者たちも真剣な面持ちで聞き入っていましたが、「坊主でもラーメンや肉はよく食べる」という言葉が出たときには、会場からは笑いが起こり、緊張感は徐々にほぐれて行きました。

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矛盾を受け入れる事からはじまる

その後は会場から質問を受けてそれに川島さんが応えるスタイルで進行。なかでも盛り上がったキーワードは“矛盾”と“1%の合理性”でした。

まず“矛盾”というキーワードは、女性のアウトローから「住職としての仕事とIT化が進む現代はかけはなれているのでは?」という質問が飛び出しました。これに対し川島さんは、「“矛盾”を抱えることこそ人間の本質」と回答。それを真言宗の開祖として知られる空海の多様性のたとえを用いるなどして、わかりやすく解説しました。

実は空海は「俗物」として語られることもあるそうで、真言宗普及のために貴族や皇族たちとの関係性を重んじ、今で言う営業マン的な活動を積極的に行っていたと言われています。そういったことも相俟って真言宗は歴史に残る存在にまでなりえた訳ですが、それだけではないのが空海という人物。真言宗では瞑想など僧としてすべきことも徹底していたと言います。


「ビジネスはある種、効率を求めること。その重要性を空海も知っていたと思いますが、そればかりでは行き詰まることにも気づいていたと思います。だからこそ瞑想などもおろそかにしなかった。その相反する要素と上手くつき合っていたからこそ、空海は名僧となりえたと思います」と語りました。


それに対し質問した女性は、「“矛盾”を抱えていて心の折り合いはつきますか?」とさらに問うと、川島さんは「おそらくつかないと思います。でも逆に折り合いがつき、クリアになることは、人として生きる上で大切なことを切り捨てることになると思います。その部分を保つためにも、“矛盾”は人には必要なのではないでしょうか」と回答。その言葉に、彼女は納得した様子でした。

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合理的な事は、世の中の1%しか占めていない

もうひとつの“1%の合理性”というキーワードは、男性のアウトローからの「経営コンサルタントとして、一番儲かりそうな仕事とは何ですか?」という質問の流れから出てきました。

川島さんはその質問に対し、しばらく考えたあと、「儲かる仕組みのある業種」と回答。「それはすなわち支出の大半を占める人件費の少ない会社。人が介さないようなビジネスモデルの業種がこれから最も儲かると思います」と、シンプルながら説得力ある持論を展開しました。

その意見をきっかけに、プロデューサーの若新は「儲かるという“合理性”を突き詰めて行くと、人間は必要なくなる。でも逆に人間が生きるためには“非合理性”こそ重要だと思います」とビジネスと人間との“矛盾”を提示しました。その上で「今の世の中は“合理性”がメインで、非合理性がサブだと思われているが、実はそうではないのかもしれない。僕は合理性は世の中の1%でしかなく、本当は非合理的な99%で占められていて、人間が生きていく上ではその99%こそ重要なのだと思う」と持論を展開しました。

ただ若新は、「非合理的な99%に目を向けさせるのは、現実的にはかなり難しいと思います。そのためには学校教育から変えなければならないのですが、その教える立場の先生たち大人が1%を正しいと思って生きてきた人たち。それをいきなり99%が大切と言っても、対応できるとは思えません」と推測。しかし川島さんは「その1%は“言語”とも言い換えられます。でも“言語”だけでは表現できない正解がある。ひょっとしたら1.5%を表せる“言語”に変わるものが実存するかもしれません」と新たな可能性を提示しました。若新はそれに加えて「その1%を越えるのが、『アウトロー採用』の目指す事」と言い、その姿勢に川島さんからエールを頂きました。

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悩むということは、彼らが真面目な証拠

他にも参加者からは「住職になった事で、仕事に対しての考え方が変わったか?」という就活のテーマとしてはスタンダードなものから、「供養の料金が安くなっているが、高くすべきではないか?」という余計なお世話(?)とも思える質問、さらには「日本の仏教は中途半端。インドなどすべてを捨て去るぐらいの覚悟で“悟り”を目指さなければ意味がないのでは」など、自身の仏教に対する意見を展開する参加者も少なからずいました。そうした質問に対しても、川島さんは真剣な表情で聞き入れ、じっくりと噛み締めた後、自身の経験に裏打ちされた言葉と内容で、丁寧に受け答えをしていました。そうした川島さんの真摯な姿勢にも影響されてか、質問はイベント終了の時間になっても終わることなく、結果的に1時間ほど延長する形になりました。

就活アウトローたちは、《アウトロー》という言葉のイメージからやんちゃな若者と思われるのですが、実は生きることにとても真面目な若者たちです。日常生活では仏教や宗教に馴染みのない若者も多かったのですが、川島さんの話に熱心に耳を傾け、自分なりに消化しようとする姿が印象的でした。
アウトロー採用ではエントリーシートや面接対策などのスキルトレーニングは一切行っていません。今回はお坊さんなので、哲学的な対話になるだろうと思ったところ、想定よりも遥かに盛り上がりました。このような異質な他者との対話は、刺激を受けることが多いようで、運営側も大きな気づきとなりました。

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