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date2016年4月28日

Vol.3 就活アウトロー採用参加者のその後|甲斐聖子さん「努力する矛先は見えてきましたね」

「自己主張とか苦手なんですよ」引っ込み思案な就活アウトローが、なんと営業職に。その仕事ぶりとは。


早いものでアウトロー採用も発足から4年目を迎えました。
多くの若者が就職していきましたが、それぞれひと癖もふた癖もある彼らは、果たして企業に何をもたらしたのでしょうか? そんな疑問に応えるべく、キャリア解放区の代表・納富が、就職先の企業に訪問して話を聞いてきました。

今回インタビューを受けてもらったのは、2014年の就活アウトロー採用を経て、株式会社アドヴァンテージに就職した甲斐聖子さん。同社の代表取締役社長である中野さんも交え、働きぶりや自身の変化について語ってくれました。

そうだ、大学へ行こう。自分で学費を稼いで大学へ

【中野】アウトロー採用のイベントではじめて喋った時から、甲斐さんのことは面白い若者だなと思っていたんですが、その後に話してくれた、大学の学費を自分で払っていたというエピソードにすごく惹かれたんです。

【甲斐】払っといて良かったです。

【納富】どういう経緯があって払ってたんですか?

【甲斐】高校を出てからしばらくはバンドをやったりしながらふらふらしてたんです。大学に対する漠然とした憧れはあったけれど、家族や親戚にも大学にいったひとは居なかったし、高校の同級生もほとんどは専門学校に進むか就職していたから、当時の私の周りには大学進学っていう概念が存在してなかった。だけどある時バンドが解散したこがきっかけになって、大学に行こうと思い立ちました。それで取り敢えず地元を出て、京都に引っ越して学費を貯め始めた。

【納富】地元は福岡ですよね。

【甲斐】福岡の筑豊ですね。

【納富】大学に受かったから地元を出たのではなく、地元を出てから学費を貯め始めた?

【甲斐】はい。そんなこんなで働きながら勉強して、入試にも合格したんですけど、その時は入学金が足りなくて入学出来なかった。

【納富】本当ですか。入学金が足りないというのは合格した後で気付いたんですか?

【甲斐】気付いてはいたんですよ。でもまぁ、なんとかなるかなぁと思って。

【納富】なんとかならないでしょう?

【甲斐】なりませんでしたね。それで次の年にも同じ大学をもう一回受けました。二度目の試験の時には「きみ去年も居たよね」なんて言われちゃいましたね。

【納富】前年に合格した大学をまた受けるひとも珍しいですからね。それで無事に合格して、大学生活が始まったんですね。

【甲斐】いや、二度目も合格したんですけど、その時になってもやっぱりまだ、入学金が足りてなかったんですよ。

【納富】えっ?

【甲斐】仕方がないから入試課に連絡して、入学金の振込期限から入学式まで2ヶ月ぐらい時間があったんで、入学式までには払いますから待っていてくださいって一筆書きました。

【納富】それで入学できたんですか?

【甲斐】なんとか。

【納富】そのエピソードだけですごいですね。

【中野】なんかよく分かんないですよね。

【甲斐】お金貯めるのとかあんまり得意じゃなくて。

【納富】さすが就活アウトローですね。卒業した後は?

【甲斐】卒業してから2年ぐらいは京都の本屋さんで働きながらバンドをやってたんですけど、彼氏と別れたのを契機に東京に出てきました。その後東京に出てきたんですけど、東京で最初に務めた職場がすごいブラックで、月給が7万円ぐらいしかなくて、さすがに生活できないから転職しなきゃって思っていたんですけど、その矢先に就活アウトロー採用のウェブサイトを見付けたので、説明会に行って、参加を決めました。

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自己主張はしない。けど、頼まれごとを嫌とも言わない。無茶振りの中から適正が見えてくる

【納富】入社から一年経ちましたが甲斐さんに対する印象はどうですか?

【中野】まだポテンシャルを隠し持ってますね。あんまり自分から前には出てこない。

【甲斐】自己主張とか意見をいうとかが苦手なんですよ。

【中野】だけど頼まれたことを嫌とは言わないですね。

【甲斐】そうですね。主張はしないけど言われたことは断らないって決めてます。入社してから二ヶ月ぐらいの頃に営業をやれって言われて、本音ではすごく嫌だったんですけど、それもやりました。無茶振りが多い会社だっていうことは覚悟していたし、「迷ったら嫌な方を取れ」という考え方が自分の中にあるので。

【納富】「迷ったら嫌な方を取れ」って名言ですね。

【甲斐】本当に無茶振りが多いんですよ。急に関西の案件の担当になってと言われたこともありました。引き受けましたけど。それから毎月2、3回ぐらいの頻度で関西に行ってましたね。

【納富】営業は実際にやってみてどうですか?

【甲斐】難しいですね。あまりパソコンを使えないので、お客さんに提案する資料を作る時には紙に印刷した画像を切り貼りしています。こういうのなんですけど。

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【納富】えっ。これお客さんのところに持って行ったんですか?

【甲斐】そう。全然ウケなかったですけど。

【納富】僕も営業経験長いので分かりますが、この情熱や工夫の仕方はすごい。こういう資料の作り方をするひとって他には居ませんから。この資料を持って行けと言える社風も素晴らしい。

【甲斐】結果に繋がらないことの方が全然多いですよ。

【納富】上手くいったのはあるんですか?

【甲斐】そうですね。すごく上手くいったのもひとつありました。あと今は地元の会社の求人サイトも作ってます。煙突とか炭鉱とか、筑豊のひとにとって馴染み深いものを多く取り入れたデザインを作って。

【納富】サイト制作もやるんですか?

【甲斐】ここ数ヶ月かは営業と制作をやってますね。実際にやってみて気付いたんですけど、デザインって、それを見たお客さんが直で喜んでくれるから、それが嬉しいんです。

【納富】甲斐さんクリエイティブセンスがあるんですね。

【中野】まだまだ隠し持ってると思いますよ。ポテンシャルを。だからもうしばらくは無茶振りしていきます。前に出てこないけど、嫌とも言わないから。その上で成功事例を増やしていってほしい。自分の得意なポディションを確立して欲しいですね。

【納富】いろんな無茶振りをしながら適正見てる感じですね。有りがたい環境ですね。

【甲斐】本当ありがたいです。切り貼りの資料でも良いよっていってくれる会社、他にないですからね。

【納富】あの資料は本当に凄いです。そういう甲斐さん独自の営業スタイルを確立していけばいいんじゃと思うくらい。

【中野】あの会社の営業は紙を切り貼りした資料を持ってくるぞ! と言われるようになると良いですね。他には居ませんから。「こういう資料で提案されたい方はウチにどうぞ」というふうに。

【納富】そうですね。そこらへんが、就活アウトロー採用出身者ならではという感じですね。ある意味まっさらなひとだと、多分こうはならない。それを認める中野社長もすごいですが。

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頑張る方向性が見えてきた

【納富】今後の目標というか、仕事に対する欲みたいのって出てきました? 入社した頃と比べて。

【甲斐】欲ですか……。入社したばかりの頃は、あれを勉強すればこれが出来るようになるとかいうところも、何ひとつ分からなかったんですけど、最近はそのへんが少しずつ見えてきたので、あれを勉強してこの部分を伸ばせば、会社にとって役に立つ形で活躍できるんだろうなというのが見えたので、あとは努力ですかね。努力する矛先が見えたというか。前はホント何の会社かも分かんなかったんで。最初は。

【納富】頑張る方向性が見えてきたんですね。どこらへんだと思います?

【甲斐】中野さんから言われているところとしては、採用を面白くしようっていうところの発想を、もっとたくさん出して欲しいっていうあたりですね。私、発想そのものは出来るんですけど、それに対して中野さんは、手描きのままでも本当に良いとは言ってくれるんですけど、ちゃんとそのあたりを、PhotoshopなりIllustratorなりを覚えて、きちんとした形で提案できたほうが良いなと思っているので、そういうところですね。会社のやりたいことは理解できてきたので、それをお客さんに伝えるための武器がほしいです。

【納富】働き始めたことで、仕事に限らず、甲斐さん自身の中で何か変化はありましたか?

【甲斐】安心はしました。ずっとふらふらしてたんで、そろそろ落とし前つけたいなって思いがあったから。

【納富】落とし前はつけられましたか?

【甲斐】つけられた部分もある。確かなものが何もないまま東京に出てきて、この先どうなるんだろう、何をして生きていけばいいんだろうという不安がずっとあったので。ここで働き始めて、向かうべき方向はわかったかなと思います。

プロフィール

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中野尚範さん

兵庫県出身。親族に経営者が多く、自身も幼い頃から企業に憧れる。起業塾との出会いや百万円の借金の返済など、波乱の青春時代を経て、28歳の時に起業塾の後輩と企業。その後独立し、株式会社アドヴァンテージを設立。代表取締役社長を勤めている。

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甲斐聖子さん

福岡県出身。二十歳の頃に大学進学を志し、漫画やCDを売り払って得た資金で京都に移り住んだ。卒業後は上京し、アウトロー採用を経てアドヴァンテージに入社。現在は営業と制作を担当。休日の過ごし方は主にバンド活動。担当パートはベース。

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