健全な寄り道人生が、個人を、社会を豊かにする。
キャリア解放区代表理事 納富順一
健全な寄り道人生が、個人を、社会を豊かにする。
キャリア解放区代表理事 納富順一
常に誰かの期待に応えてきただけ。自分自身が何を望んでいるのかなんて考えたこともなかったのに、いきなり自己分析して志望動機なんて言えるはずがない。
そう、就活って、なんか違和感がある。ピンとこない。
昔の学生も皆同じようなスーツを着て何者でもない者になる就職活動に多少なりとも違和感があったはずです。しかし、右肩上がりの成長が約束されている社会では、その違和感を押し殺して、とりあえず働くことにメリットがありました。圧倒的な経済的成長を背景に、正社員というレールさえ乗れば誰でも給与が増えました。結果、競って車を買い、結婚し、住宅を買いました。頑張ることが物質的な豊かさと直結していたからです。
90年代前半バブルが崩壊し、日本は低成長時代、成熟社会へと入りました。昔のように、違和感を殺して働いていても、その先が見えなくなったのです。量的な頑張りが、決して豊かさに直結しない時代となりました。その結果、過労死、ブラック企業、長時間残業、様々な労働問題が注目を集めるようになりました。とりあえず正社員ではたらいても、その先に何が待っているのか。若者の多くは、自分たちの親と同じようには生きられないことに気づいています。
社会が成熟し、人生が100年時代に突入しようとしている今だからこそ、立ち止まって考える必要があります。
何のために働くのか。そして、生きるのか。
残念ながら、複雑性かつ変化の激しい時代においては、その答えは学校の先生も親も教えることができません。
自分なりに試行錯誤し、内省し、生きる意味を見出そうとすることは、成熟社会ではより重要な行為となるでしょう。ただ、右肩上がりで成長してきた日本社会では、人生の重要な帰路に立ったとき、立ち止まり、遠回りする人たちを「サボっている」「やる気がない」と評価してきませんでした。
しかし、そういう時代は終わりました。
これからは、空白期間をネガティブに捉えるのではなく、その間に何をしてきたが問われる時代です。
生きる意味など、そう簡単に見つかるものではないかもしれませんが、それを分かった上で試行錯誤するのか、もしくは無自覚に社会システムに取り込まれるのか。我々は今、重要な分岐点にいると思っています。
我々のサービスの多くは、旧来の就活に違和感を持った者、大学既卒者や中退者など、レールからあえて外れた人を対象としていますが、弱者支援ではありません。
健全な寄り道人生を歩んだ若者たちこそが、これからの成熟社会で価値発揮をするのではないかと本気で信じています。
イノベーションは常に辺境から起こります。違和感を持つことを許さない風土では新しい何かは、生まれません。
これからの時代を生き抜く人材や組織がここから生まれるはずです。
我々はそんな可能性の塊である、違和感を持った若者たちの個性を活かしながら社会と接続する方法も模索していきます。
これからのキャリア解放区の活動にぜひご期待ください。
大学卒業後1年間のニートの後、テレビ局のADを経て、人材業界に。新卒、中途、障害者など幅広い分野で人材ビジネスを経験。企業、求職者の目線に立ちづらい人材業界のあり方に違和感を持ち、もっと時代にあった本質的なアプローチを追求するためにキャリア解放区の理事長に就任。
株式会社NEWYOUTH代表取締役、慶應義塾大学大学院特任准教授などを兼任。就労困難者の支援を行う株式会社LITALICO(東証一部上場)の共同創業者・COO等を経て独立。人・組織・社会における「創造するコミュニケーション」を研究・模索し、全員がニートで取締役の「NEET株式会社」や女子高生がまちづくりを楽しむ「鯖江市役所JK課」などの実験的なプロジェクトを多数企画・プロデュース。
WEBサイト 若新ワールド
新卒でインテリジェンスに入社。11年間人材紹介事業に従事し、IT、メーカー、営業、販売サービス領域のマネジャーを兼任。その後2011年にリブセンスに採用責任者として入社。約4年間新卒採用、中途採用をほぼ1人で担当。全く新しい採用手法に惹かれ、2015年にキャリア解放区に参画。就活アウトロー採用の運営に関わる一方、採用コンサルタント、人事、ヘッドハンターとしても活躍中。